『アイアンマン』や『シャーロックホームズ』シリーズで知られるロバート・ダウニー・Jrが主演するヒューマンドラマ、『ジャッジ 裁かれる判事』。
邦題やイメージの煽りと話の内容はかなり違って、アメリカの片田舎を舞台にした家族の再生の物語です。
法廷ミステリーやサスペンスではないのであしからず。
おすすめポイント
『アベンジャーズ』シリーズで、すっかりアイアンマンのイメージが定着しているロバート・ダウニー・Jr.ですが、この作品では一人の悩める息子を演じています。
しかし、これがはまり役です。葛藤が深い父息子の関係を、素晴らしいキャストで描いた物語。ストーリーも映像も、どれもこれもが素晴らしい作品です。
- おすすめポイント①:法廷での人々の様子の描写が細やか!
- おすすめポイント②: 主人公とその家族間の葛藤の表現が素晴らしい!
- おすすめポイント③:驚きの連続のストーリー展開で観飽きない!
おすすめポイント①:法廷での人々の様子の描写が細やか!
この映画では、けっこうな割合で法廷のシーンが描かれます。そこには、当事者である被告人と検察、そして被害者家族や被告人家族、その友人達と、実に沢山の人がそろっています。それぞれの立場で、それぞれの思惑があってそこにいるのですが、その表情が非常に細やかに表現されていて、リアリティがあります。また、カメラワークのおかげで、まるで自分も法廷にいるかのように感じられるように観ることができます。
おすすめポイント②: 主人公とその家族間の葛藤の表現が素晴らしい!
どこの家庭にも、それぞれ複雑な事情があるもの。もちろん、今回の舞台となる家庭にも、深い溝や葛藤があります。冒頭、この家族は妻であり母である女性を失うところから物語が始まるのですが、この〝喪失″体験が作品全体の肝になっていると私は思います。
母という大きな存在を失い、男達はそこで何を発見するのでしょうか。長い時間をかけて築かれた葛藤関係を、ほどいてゆくのには幾人かの女性の助けが必要でした。それぞれの女性(あるいは女子)の持ち味が、この物語のくすっとポイントにもなり、ドキドキポイントにもなっています。そして、物語にユーモアや優しさを感じさせるのは、知的障害の弟・デール。障害者を抱える家庭の悲壮感はなく、しかし誰もが彼をとても心配している様子が分かりやすく描かれ、尊重されながら生きることの幸せを教えてくれます。
おすすめポイント③:驚きの連続のストーリー展開で観飽きない!
冒頭からラストまで、実に2時間以上あるのですが、途中で来客やトイレに行きたくならなければ集中力が切れてしまう心配がないほどの秀逸なストーリーです。
意外な事実が出てきたり、その事実がもたらす思いなどが丁寧に描かれるので、2時間以上も座っていたのが嘘のようにあっという間に過ぎてゆきます。どの人物の気持ちも分かる気がする、ということもポイントなのだと思いますが、現実にいそうにない人物が一人も出てこない、ということがそうさせるのでしょう。キャラクター設定からストーリー展開まで、すべてが魅力的な作品です。
こんな方におすすめ
観る年齢によって評価が分かれる作品だと思います。自分が若いころ観ていたらつまらないと思ったかも知れません。
ですので、30代以降の子育て世代におすすめです。
また、父と子の葛藤を描く作品です。親子関係のわだかまりや、両親の老いを感じる方などは共感しやすいと思います。
ロバート・ダウニー・Jr.やロバート・デュヴァルのファンの方には魅力的すぎる作品です。法廷ものが好きな方にももちろんオススメ。
作品概要
- 公開:日本公開2015年
- 制作国:アメリカ合衆国
- 上映時間:142分
キャスト
- ロバート・ダウニー・Jr(ヘンリー・〝ハンク″・パルマー)
- ロバート・デュヴァル(ジョセフ・パルマー判事)
- ヴィンセント・ドノフリオ(グレン・パルマー)
- ジェレミー・ストロング(デール・パルマー)
- ヴェラ・ファーミガ(サマンサ・パウエル)
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【ジャッジ 裁かれる判事】のあらすじ
ハンク(ロバート・ダウニー・Jr.)は、シカゴ在住のやり手弁護士として活躍している。高額な報酬と引き換えに、「クロをシロにする」ことができる弁護士だが、そこに罪悪感を感じている余裕もないほどに順調にキャリアを積んでいる。
一方、私生活は妻の不貞で離婚の危機にあり、とある裁判の途中で実母の急逝の知らせを受けて、二度と戻らないと決めていた実家があるインディアナ州の小さな町に戻る。
母・リサ(サラ・ランカスター)は、庭のアジサイを手入れしていたところで心臓発作を起こし、3番目の息子であるデール(ジェレミー・ストロング)に発見されたという。
久々に帰った実家には、兄・グレン(ヴィンセント・ドノフリオ)とデールが待っていた。家庭のことを家族には言えないハンク。父であるジョセフ(ロバート・デュヴァル)にも同様で、唯一ハンクが置かれた状況を知っていたのは母だけだった。
母の葬儀の日、ハンクは葛藤関係にある父と口論になってしまう。父は口論しながらも「よく帰ってきた」と言い残し、車でコンビニへ出かける。兄弟は町へ繰り出して飲酒して、父・ジョセフが帰宅した時には不在だった。
翌朝、シカゴに戻ろうとしたハンクは、父の車が傷ついていることに気づく。自動車関連の仕事をしているグレンが車を修理しようとしていると、ジョセフが家から出てくるが、そこでもハンクはジョセフと口論になってしまう。
飛行機に乗ろうとしているハンクに、兄から電話がかかってきて、ジョセフが保安官に連行されたという。昨夜、父がかつて自分が裁いた男を轢き殺した疑いがかけられたというのだ。
急いで戻るハンクは、父の弁護をしようとするが、父はそれを拒む。結局、様々な葛藤を抱えながら滞在期間を延ばして、ハンクはことの顛末を見守ることにするのだった。
父が最初に雇った弁護士は、大変実直で人のよい男だった。彼は裁判経験があまりなく、謙虚な性格。予審の段階で結果を出せなかった彼は、助手としてつくからとハンクに弁護人の立場を譲る。
ハンクは、父に無償奉仕のカウントとして弁護を引き受けるとし、事件の真相に乗り出してゆくのだが、出てくる事実はあまりにも意外で、そして悲しみに満ちたものばかりだった…。
【ジャッジ 裁かれる判事】の感想
私も父親との関係があまり良くないので、観ていて胸が痛くなりました。お互いが歩みよりたいけど、寄り切れない様が、見事に描かれていました。
立派な判事として在りたいと願う父、それゆえ過去に切り捨てられた息子・ハンクと、彼によって大きな夢を断たれた兄・グレン、そして彼らをずっと変わらないあたたかさで見守ってきた母とデール。家族を支えてきたあたたかさの大きな柱を失って、パルマー一家は大きくバランスを崩します。しかし、父の事件によって、家族はバランスを崩しては立て直し、またぶつかってバランスを崩しては立て直しを繰り返し、ラストには家族として新たな門出を迎えるのです。
その門出は、あまりにも悲しい出来事を含んではいるのですが、この出来事を経て、ハンクはまた人生の新しい地点に立ったのです。
父と息子の関係という普遍的なテーマですが、名演もあり秀作でした。
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